このたび、私のウェブサイトに Teachingページ を新しく開設いたしました。
現代のヴァイオリン作品を中心に、楽譜の読み方、奏法、記譜法、解釈を通して、音楽をどのように演奏し、どのように記譜するかを扱う、演奏家・作曲家のためのレッスン。
また、20〜21世紀の西洋および日本における音楽の流れの中で生まれた現代音楽作品を題材に、作曲家の背景や作品の成り立ちをわかりやすく解説するレクチャーを行います。
今回 Teaching ページを公開するにあたり、私がなぜ、演奏に加えて
現代の音楽をより深く紹介したいと考えるようになったのか、
その背景にある思いを、記していきたいと思います。
なぜレッスン&レクチャーを始めたのか
これまで、日本および海外において現代音楽作品の演奏活動を中心に取り組んできましたが、近年は演奏に加え、作品の背景や成立過程、作曲家の思考を紹介するレクチャーコンサートや、作曲家・演奏家の方々に向けた奏法や記譜法に関する講義・レッスンの機会をいただくことが増えてきました。
そうした経験を重ねる中で、感じるようになったことがあります。
それは、演奏することと、音楽について言葉で説明することは、別の仕事のように見えて、実は同じ営みなのではないかということです。
作曲家は、それぞれの考えや感覚をもとに音を選び、時間の流れを設計し、楽譜として作品を残します。
演奏家は、その楽譜を読み取り、作曲家がどのような音楽を思い描いたのかを考えながら、実際の音として表現します。
また、作品について語ることや背景を紹介することも、同じように音楽を理解しようとする過程の一つです。
演奏であっても、言葉による解説であっても、目指しているのは音楽そのものに近づくことなのだと感じています。
実践の中で出会った時間
これまでのレッスンや講義では、
特殊奏法や記譜法の意味が理解できたことで作品との距離が縮まった、
背景を知ることで音楽の聴こえ方が変わった、
といった言葉を多くいただいてきました。
演奏者にとっては、楽譜を多面的に読み解き、それを音として実現するための思考と技術を往復する時間として。
作曲家にとっては、想像した音響をどのように楽譜へ定着させるのかを考える場として。
そして聴衆の方にとっては、作曲家ごとに異なる音楽言語の存在を知ることで、音楽と新しく出会う入口として。
立場の異なる人たちが新しい音楽の作品を通して同じ問いを共有し、そして新たな音世界を一緒に体感する喜びに満ちた瞬間に、私は何度も立ち会ってきました。
そのような場がもっと増え、多くの方が現代の音楽作品に触れ、楽しむ機会がもっと増えればいいな、と強く思うようになりました。
現代の音楽の魅力を深くご紹介したい_
以上の思いのもと、Teaching ページ を新設いたしました。
レッスン・レクチャーの内容について
レッスンでは、現代のヴァイオリン作品を中心に、演奏者の立場から現代音楽作品の演奏指導・記譜指導、作曲家の思考や楽曲構造の分析等を行います。
そして20〜21世紀の西洋音楽史および日本洋楽史の流れの中で生まれた作品を題材に、作品の背景や構造を読み解くレクチャーを行います。
レッスンやレクチャーを通して、主として演奏家、作曲家、現代音楽への理解を、体系的・実践的に深めたい方々を対象に、
楽譜の読解、奏法、記譜法、解釈を通して、
音楽はいかに演奏されるのか。
音楽はいかに記譜され得るのか。
という問いを共有します。
詳細はこちらをご覧ください:
https://www.junyamakino.com/teaching
多様な音楽の時代の中で
20世紀以降、音楽は大きく姿を変えました。
調性を軸とした作品もあれば、そこから離れた音楽もある。
複雑な時間構造を持つ作品、電子音響によって拡張された音の世界、偶然性や身体的な行為そのものを取り込む作品も存在します。
その広がりは、もはや一つの価値観では捉えきれないほどです。
現代音楽に触れるとき、「難しい」という言葉が先に立つことがあります。
けれど、それは未知の言語に出会ったときの感覚に似ているのかもしれません。
背景や文法を知ることで言葉の意味が立ち上がるように、作品が生まれた時代や思想、記譜の意図を知ることで、同じ音楽がまったく違って聴こえ始めます。
作曲家が独自の言語で作品を創り、
演奏家がそれを読み取り、感じ取り、音として現実の中へと置き直す。
この関係は昔から変わりません。
ただ現代音楽では、その過程をより意識的に見つめる必要があるように感じています。
最後に
音楽に向き合う方法は一つではありません。
だからこそ、それぞれの問いを持ち寄りながら、作品を深く味わう時間を共有できればと考えています。
レッスンやレクチャーが、
これから現代音楽に触れたい方にとっての入口として、
あるいはすでに取り組んでいる中で、新しい視点や手応えを探している方にとっての小さな契機となれば嬉しく思います。
